「時計の掃除ってどうすればいいんだろう…」
時計を購入してから軽く拭いたりはするものの、これで本当に当たっているのか不安な方も多いのではないでしょうか。
ですが、いろんな方法があって結局どれが正解なのか分かりませんよね。
そこで、本記事では27年以上時計修理業界に身を置いている私、藤本が自宅でできる日常の時計のお手入れ方法について紹介します。
是非、最後までお読みください。
目次
時計が汚れる原因は皮脂やホコリ?
腕時計の特性上、汗をかいたり皮脂が付着するのは避けられないですよね。
毎日隅々まで洗浄するのは現実的ではなく、結局日々の汚れが蓄積するのは日々愛用する時計の宿命とも言えます。

その汚れはただ溜まるだけなら害を及ぼさないはずですが、ステンレスケースであればその汚れの下にあるステンレスケースの表面は空気中の酸素と結合することができずにサビが進行します。
ステンレスの特性として、空気中の酸素と結合して酸化皮膜を作ることでそれ以上に錆びる事を防いでいるのに空気に触れない事でその下の金属に腐食を生じさせます。これは時計ケースでたまに見かける致命的なトラブルの原因の一つです。
定期的な掃除を行わないと時計が壊れます
このような汚れの多くは目につく箇所ではなく隙間の奥深くで進行してます。
なので簡単に拭いたり洗うことができない箇所はある程度分解して、超音波で洗浄しないと綺麗にならないです。
したがって3〜5年に一度行う分解掃除を利用して隅々まで洗浄するのが理想だというのもわかっていただけたと思います。
私の体験談ですが、これまで数多くの修理を行ってきましたが古い時計は大なり小なりサビが進行しています。
今皆さんが使っているその時計が30年後にサビで腐食したり、腐食が原因で防水不良を起こした結果、内部の歯車が錆びたり、文字板、針が変色するのは想像したくないですよね。

掃除を行うタイミングは月に1回が目安
使用頻度や体質、季節によるので一概には言えないですが、汚れがたまりやすい構造だったり汗をたくさんかいた際は時計を外す度に綺麗にクリーニングしたいですよね。少なくともひと月に一度くらいは外装を拭いたり水洗いしたいです。
蓄積した汚れは軽度であれば簡単な洗浄で落とせますが何年も放置してこびりついた頑固な汚れはちょっとやそっとでは落とせません。
私たちでも超音波洗浄機や強力な洗剤、高圧空気を駆使して2時間くらいかけてようやく元の金属の地肌を取り戻すことも少なくないです。
そんな時すでにケースやブレスレットは腐食して、金属が痩せ細っていることが多いです。
セルフで時計を綺麗にする方法とは?
一番確実で間違いがないのが、乾いた清潔なマイクロファイバーやセーム革などでのから拭きです。
明らかに時計の寿命は長くなります。もちろん適切に行うのが大前提ですが修理で預かる時計を見ているとブレスレットに付着したゴミ、汚れが少ないものは時計そのもののダメージが少ないです。きっと丁寧に扱っているんだろうなと思って、いつも修理を進めているんです。

ケース表面の汗や汚れを取り除くだけに留まらず、多少入り組んだ部分も繊維が届くことで汚れを掻き出すことも可能です。
また水分を使わないのでサビの原因になる湿気の滞留を防ぎます。
金属バンドであれば入り組んだ箇所が多いので上記に加えてマジックリンなどのアルカリ性洗剤を水で希釈してから、使い古した歯ブラシを併用して普段届かない穴の奥まで洗うことで皮脂などの汚れを洗うことは試しても良いと思います。
ただし、アルカリ性の洗剤が残ったままだと肌荒れを招くこともあるのでなんども根気強くすすぐことが求められます。
また石鹸も身近にあると使いたくなりますが、液体個体に関わらず石鹸カスがどうしても蓄積するのでこれもお勧めしません。
慣れないうちは乾拭きをこまめにすることが長持ちさせる一番の理想と考えています。
失敗すると時計を逆に傷つけてしまいます
特に素材が柔らかい金を使用した時計は硬度が低いので表面の小傷は間違いなく増えます。またステンレス素材を綺麗に水洗いしたとしても奥深くまで入った水分を抜くのに非常に苦労します。
良かれと思って時計を水洗いして、防水機能の低下に気づかないで濡らしてしまうと防水不良の箇所を通じて、大事なムーブメントのサビを招いてしまいます。
私たち、時計修理技能士であれば適切に分解できてなおかつヒーターや乾燥器を併用するので完全に綺麗にすることが可能ですが、一般の方でそこまでできる方は少ないので心配な方は分解掃除を検討してください。
分解掃除を行うことで早めに異常を発見することができ、時計が完全に壊れる前に対応することができます。
例えば…ブレスレットのピンが緩んだ状態や、中留の亀裂、ケースの気密を保つべきパッキン類の交換などは私たちプロの技術者でないと対応できません。

傷をつけたり水入りした場合の対処法
もし、傷をつけてしまったら研磨剤入りの磨き布で表面を軽くなぞるのが一番効果的です。
研磨剤の粒度に種類があるので傷の深さに応じて適切な強さで磨いてあげてください、もしヘアライン仕上げであれば同じ模様を入れ直すのはほぼ不可能です。
気になるときはお気軽に修理のご依頼をしてください。
そして、精密機械である時計で絶対に起こしたくないのが水入りです。
曇るぐらいであれば湿気の量は限られていて、ダメージは少ないですがもし水滴や水が入った場合は早急に修理が必要です。
放っておいてもある程度は乾燥しますがその過程で必ずサビを呼んでしまいますし、そうなると表面のサビ落とし、部品の交換など作業の手間が何倍にも増えてしまいます。

そして、弊社Foliotではのご相談も承っております。
郵送、直接問わず修理可能なのでぜひお気軽に下記のURLからお問い合わせくださいね。
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