
「最近、自動巻き時計の調子が悪い」「メンテナンスって本当に必要?」
とお悩みではありませんか?
この記事では時計修理歴27年のプロが、自動巻き 時計 メンテナンスに関する頻度・方法・プロに頼むべきタイミングをわかりやすく解説します。
初心者でもわかる症状チェックリストから、自分でできるケア、プロに依頼すべき作業まで網羅。
最後まで読むことで、あなたの大切な時計を長持ちさせる方法が明確にわかります。
自動巻き時計のメンテナンスが必要な症状チェックリスト
ここでは症状ごとのチェックする項目をご紹介します。
音の異変・遅れ・進み
機械式時計は、正常であれば一定のリズムで時を刻みます。
しかし、異音が聞こえたり、持続時間が著しく短い場合はムーブメント内部の摩耗や破損が進行している可能性があります。
また、時計の精度が遅れる・進むといった精度不良も代表的な警告サインです。
これらは潤滑油の劣化や歯車の摩耗が原因で、放置するとさらに重大な故障につながります。

ガラスの曇り・腐食
ケース内部に曇りや水滴が現れるのは、時計内部への湿気侵入を意味します。
ガラスの内側が曇る場合、防水パッキンの劣化やケースの腐食が原因です。
特に海水や汗が入り込んだ場合、内部部品の腐食が急速に進行しますので早急なメンテナンスが必要です。
巻き上げの感触の変化
リューズやローターを回したときの巻き上げ感触に違和感がある場合も注意が必要です。
「引っかかる」「軽すぎる」「重すぎる」といった感触の変化は、ゼンマイや巻き上げ機構の不具合を示しています。
この症状を放置すると、ゼンマイの不良はもちろん自動巻き機構の破損に発展する恐れがあります。
自動巻き時計のメンテナンスはなぜ必要?
メンテナンスしないとどうなる?

放置すると内部の潤滑油は時間とともに劣化し、部品同士の摩擦が増大します。
さらに放置すると、歯車や軸受けの摩耗、最悪の場合は部品の破損を引き起こします。
また防水パッキンの劣化により湿気が侵入すれば、錆や腐食が進行し修理費用も高額になりがちです。
メンテナンス不足は寿命の短縮や大がかりな故障を招くリスクが高くなります。
どのくらいの頻度が理想?
一般的に、3〜5年ごとのオーバーホールが推奨されています。
ただし、時計の使用状況や環境(汗・湿気・衝撃)によって理想的な頻度は変わります。
たとえば、毎日着用する時計やアンティーク時計は3年程度、保管が中心であれば5年以上でも問題ないケースがあります。
また、新品購入後の最初のオーバーホールは特に重要で、以降のメンテナンス間隔の目安になります。
定期的な点検を習慣にすることが、時計を長持ちさせる最大のコツです。
自分でできるメンテナンス方法【初心者でも可能】

日常の汚れ対策
日常的には柔らかい布での乾拭きがおすすめ。
金属ブレスレットの場合は、歯ブラシと中性洗剤を使ってやさしく洗浄し、しっかりと乾燥させましょう。
ただし、防水性能に不安がある時計は水洗いを避けるべきです。
保管方法と注意点
保管場所はテレビ・スマホ・スピーカーなど磁気を発生する家電から離すこと。さらに、湿気の少ない安定した場所を選びましょう。
できれば時計専用の保管ケースや防錆シートを使うとベストです。
また、長期間使用しない場合も定期的にゼンマイを巻いて内部の油の固着を防ぐことも心掛けてください。

自力でやってはいけない作業とは?
初心者が避けるべき作業は裏蓋の開閉やムーブメントの分解です。
誤って防水パッキンを傷つけたり、ホコリを侵入させるリスクが高いため、内部点検・注油・部品交換は必ず専門家に依頼しましょう。
プロに任せるべきメンテナンスとその理由

オーバーホールの必要性
オーバーホールを行うことで精度が回復し、部品の摩耗や破損の進行を防止できます。
特に潤滑油の劣化や汚れは、分解しないと確認・除去できないため、3〜5年ごとのプロによるオーバーホールが不可欠です。
放置すると起こる故障例
オーバーホールを怠った時計には、こんなトラブルが発生します。
輪列(歯車)の摩耗 → 精度悪化、パーツ交換が必要
ゼンマイ切れ → 止まり
潤滑油の枯渇 → 歯車や軸受け部が破損
防水性能の低下 → 湿気侵入と腐食
これらの故障は修理費用が高額化し、メーカー修理受付不可となるケースもあります。
特に部品供給が終了したヴィンテージモデルは、定期メンテナンスを怠ると修復不可能なダメージを受けるリスクが高まります。
自動巻き時計メンテナンスの費用と期間

国産時計の相場
国産の自動巻き時計(SEIKO、CITIZENなど)のオーバーホール費用は、依頼する場所にもよりますがおおよそ15,000円〜35,000円が相場です。
クロノグラフなど複雑機構を持つモデルは50,000円前後になることもあります。比較的リーズナブルですが、部品交換が発生する場合は追加費用(5,000円〜20,000円程度)が必要となります。
海外高級時計の相場
ロレックス、オメガ、カルティエといった海外高級ブランドは、基本的なオーバーホールで40,000円〜80,000円が目安です。
ですが、ロレックスのデイトナなど複雑機構のモデルは100,000円以上かかることも珍しくありません。
正規サービスと修理専門店では価格差があり、正規サービスは高額ですがメーカー保証が付帯するのが特徴です。
期間はどれくらい?
オーバーホールにかかる期間は、一般的なモデルで3〜6週間が標準です。
ただし、部品取り寄せや混雑状況によっては2〜4ヶ月に及ぶこともあります。
特にヴィンテージモデルや限定モデルは、部品確保に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで依頼するのが賢明です。
メンテナンス依頼先の選び方

時計店と修理専門業者の違い
時計のメンテナンス依頼先は大きく「時計販売店」と「修理専門業者」に分かれます。
時計販売店(百貨店や家電量販店含む)はメーカーへの取次が主で、独自に修理を行うケースは稀です。
一方、修理専門業者は自社で分解・洗浄・調整まで完結できるため、柔軟な対応や価格の融通が利きやすいのが特徴です。
特にメーカー修理受付終了モデルやカスタム対応が必要な場合は、専門業者のほうが適しています。
選び方の基準
依頼先を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう:
技術者の資格や経験(時計修理技能士の有資格者が在籍しているか)
過去の修理事例(特に自分と同じブランドやモデルの実績)
見積もりと説明の明瞭さ(作業内容と費用の内訳が明示されているか)
保証期間(オーバーホール後の保証があるか)
部品調達力(特にヴィンテージや特殊モデルに対応可能か)
また、口コミやレビューも重要な判断材料です。信頼できる専門業者ほど、長期的なメンテナンスパートナーとして価値があります。
FAQ
Q:メンテナンスは何年ごとがベスト?
一般的には3〜5年ごとのオーバーホールが理想ですが、使用頻度や環境(汗・湿気・衝撃)により前後します。
頻繁に使う場合は3年、コレクション用なら5年が目安です。
特に新品購入後の最初のオーバーホールを基準にすると、次回以降のタイミングを計りやすくなります。
Q:プロ依頼のタイミングは?
次のような症状が出たらすぐにプロへ依頼すべきです:
精度の大幅なズレ(遅れ・進み)
巻き上げの違和感
ガラス内側の曇りや水滴
また、防水検査の未実施や購入から5年以上経過している場合も点検を検討しましょう。
Q:保証期間中でもメンテナンスは必要?
はい。メーカー保証は製造上の欠陥に対する保証であり、経年劣化や潤滑油の劣化は対象外です。
保証期間内でも定期的なメンテナンスや点検を行うことで、後々の高額修理や部品交換リスクを回避できます。
現在、弊社フォリオットでも修理を承っております。
ぜひこちらからお問い合わせくださいませ。
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